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2010年6月26日 (土)

『育児の百科』

妊娠~出産、育児の経験を通して、今まで読んだことのなかったジャンルの本にも多く出会います。どれも何らかの形で「いのち」に関わる内容ですから、セラピストとしても大変勉強になります。

今回ご紹介するのはタイトルにもある通り、『育児の百科』(松田道雄 著)です。

妊娠前から6歳になるまでの時期を細かく分け、それぞれに「この月の赤ちゃん」「そだてかた」「環境」「かわったこと」「集団保育」の項目が用意されています。
小児科医、しかも男性にもかかわらず、赤ちゃんの身体の様子や心理状態、お母さんの心理状態、家族の様子、体重の増減や母乳の量、睡眠や寝かしつけ、その時期特有の代表的なトラブルなどがほんとうに丁寧かつ簡潔に説明されています。「産休あけにつとめにでる母親に」「入浴の時刻はいつがいいか」「「排泄のしつけはまだ早い」「離乳への道はひとつではない」「お菓子のあたえかた」など、その時その時の発達段階で気になることがきちんと網羅されているし、以下に紹介するように読み物としても面白いのです。

amazonのレビューを見ても絶賛の嵐!ですが、私のボキャブラリーではその素晴らしさを説明しきれないので、何箇所か抜粋してみます:

(以下抜粋)
生後4ヵ月から5ヶ月まで
赤ちゃんの体重は、赤ちゃんの食欲のメーターである。よくのむ子は重いし、それほど飲まない子は重くない。(途中略)いつもきげんがよいのに、あまり乳をのまないのは、ガブのみすることを好まないたちなのだ。おとなに大食と小食とがあることを、あやしまないのに、なぜ赤ちゃんの小食だけをとがめるのだろうか。(途中略)人間のねうちを体重できめるのは、はなはだ失礼なやり方である。

生後5ヵ月から6ヶ月まで
5ヵ月から離乳期にはいったというので、人生万事離乳の生活をしてはいけない。赤ちゃんにとっても、食べることは人生の楽しみの全部ではない。(途中略)(離乳食を)つくる楽しみは母親だけのもので、赤ちゃんはそのあいだ放っておかれるだけだ。
裏ごしだのすり鉢だのをつかって、あまり手のかかる離乳食をつくるのに賛成しない。それだけの時間を赤ちゃんの鍛錬にまわしたい。

生後9ヶ月から10ヶ月まで
父親が勤め先から帰ってくるのが9時ごろという場合は、11時まで赤ちゃんがあそんでいるのも、家庭の団欒からいって、よろしい。(途中略)赤ちゃんは7時にねかしつけないといけないとかんがえて、せっかく帰ってきた父親もドロボーみたいにぬき足さし足で部屋に入り、会話も低音でやり、それでいて、赤ちゃんに夜中に目をさまされてあそばれたり、(途中略)父親の熟睡をさまたげ、父親が赤ちゃんをしかりつけるというのでは、何のために父親と家庭をつくっているのかわからない。
(抜粋以上)

抜粋していて初めて気がつきましたが、平仮名が多用されているから優しい気持ちがより伝わりやすいし、読みやすいのかもしれません。

この本全体を通して感じるメッセージは、「たいていのことは、よくのみ、機嫌もよければ大丈夫。子供はそれぞれ違うから比べない、焦らない。西洋式の考え方一辺倒ではなく、日本伝統の育児観にも見所はある。子供のことを一番よくわかっているのは母親なのだから、自信をもって!」

もう1点強調しておきたいのが、随所に見られる挿絵。
なんと!全ていわさきちひろさんなのです!!!
贅沢でしょう?
挿絵だけ見ていても心が癒されます。
(定本・最新版など色々なバージョンがあって、いわさきちひろさんの挿絵がないバージョンもあるらしいです。未確認ですが。私が購入したのは「最新版」です。)

セラピストとしても、生命力のすごさや医者との付き合い方、人が発達していく様子や意味など示唆の多い書籍です。分厚いので一度に読み通すのは難しいですが、興味のあるところだけ読んでいっても何かしら学べると思います。

定本 育児の百科〈上〉5カ月まで (岩波文庫)

著者:松田 道雄

定本 育児の百科〈上〉5カ月まで (岩波文庫)

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